年齢を重ねるほど「心を動かす時間」が少なくなっていませんか?若かったころはもっと情熱があったのにとか、幼いときは落ち葉が一枚落ちるのをみてワクワクしたとか。
ですが、大人になるにつれて感情をコントロールすることが良しとされ、社会的枠組みの中で生きるようになる時、感性や感情を解放することも忘れ去られていきます。ですが、絵を描く時間は、瞑想のように心と脳の両方に豊かな変化をもたらし、束縛させられていた感性を蘇らせることができます。この記事は、これから「絵を始めたいと思われているシニア層の方」へ参考になる情報をまとめてみました。
年齢を重ねても「創造する力」は衰えない│絵画教室で出会ったシニア層の方達
何かを「創造する」とは人間の根本的な生きる動機・衝動です。ですから年齢と共に「使わなくなる習慣」「めんどくさくなる習慣」はできてしまっても、「無くなる」ことはありません。見えない衝動を形にすること、それが絵を描く行為になります。
ここでは私が絵画教室で講師をしていた時に出会ったシニア層の方たちを紹介していきます。

絵画教室にくるシニア層の方達の多くは、退職後の趣味として絵を選んで、自分の思いを形にしたいという方、または若い時から絵を学びたかったがそれが環境的に出来なかった方が多いです。50代後半、60代、60代後半、70代の方達がいました。
●60代後半の男性Kさん
Kさんは退職後、ずっと挑戦したかった絵を始めることにしました。その方の趣味はジムで筋トレをすることらしく、60代とは思えない引き締まっ体格をしていて、絵を描く時も背がピンと伸びていました。大会でメダルもとったそうです。
ですが動的な筋トレとは対照的な絵を描くことを選んだのです。何故かというと、自身の人生哲学を絵を通して改めて表現したかったそうです。絵はとても独特でした。地球儀の上にロダンの考える人配置したり、写実的な絵ではなく、ご自身の人生哲学を絵で表現することを楽しんでいました。
●50代後半の男性Kさん
(同じくスペルはK)
現役の小児科医の園長さんでした。とても忙しく過ごしている方で、平日はクリニックで一日中話しているので家に帰ってくると一切人と話したくなくなるそうです。「絵を絵描く時間は自分と向き合える時間だ」といっていました。小さい頃、実は絵を描く道進みたかったのですが、周りから医者になれというプレッシャーがあってできなかったそうです。でも今は「やりたかった絵を描くんだ」といっていました。その方はジブリのイラストが大変好きで、「あれは本当に綺麗でいつかあのように描きたい。」といっていました。風景を描くのが好きで一緒にスケッチにもいったりしました。
絵を描くようになったのは、皆さんそれぞれの理由があります。共通しているのは、絵を描く時間は「自分を見つめ直す時間」となっていたということです。それは自分の感じたこと・思い出・憧れ・人生の経験を形にする「自己表現の手段」でもあるのです。
絵を描く人・芸術に通じている人は聡明な人が多い
私のであった絵を描いている画家さんや、芸術業界にいる方は年齢を重ねても聡明な方が多くいらっしゃいました。
絵を描くことは指や感性をよく使います。また絵画鑑賞も似たような効果があります。これらが心と脳に良い刺激を与えているのは確実です。
ここでは私が印象的だった何人かの方を紹介させて頂きたいと思います。
●コロンビアで出会った画家アルフォンソ・アリザさん
私がコロンビアで出会った著名な画家さんです。おそらく60代後半の方ですが、以前アトリエに招かれてお話したことがあります。そこで驚いたことは感性が若者よりも若い!ということでした。パラモと呼ばれる湿地帯に行って岩石を拾ってきて、岩絵の具のとしてすりつぶして絵につかったり、自ら絵の具を調合して新しい白をつくっていました。
「いつも絵のことばかり考えている、もっとこうした方がいいんじゃないか?とか、次々にアイデアがでてくる。もっともっと描きたい。」仰っていました。物腰が柔らかい方なのですが、内なる情熱が凄い方でした。
→一緒にスケッチ旅行に行ってきた時の映像はこちら
●韓国で出会った著名画家の奥さん
韓国にジャン・ウㇰジン/張旭鎮・장욱진(1918-1990)という著名な画家さんがいます。ずいぶん前に亡くなられた方です。
韓国に美術館もあるほどです。→張旭鎮美術館
以前、その方の奥さんとお話したことがあります。もう90歳を超えていたと思われます。ところが意識が大変、聡明ではっきりと対話をしてくださいました。長年、有名画家の奥さんとして芸術界で生きてこられたのが理由かもしれません。
●フランスで出会った写真家
フランスのパリで写真家の女性の方に出会いました。この方はモンマルトルに住んでいて50代後半か60代前半の方ではないかと思います。お子さんが3人ほどいて、子育てをしながらも作家として作品制作をしている方です。
家の一室が暗室になっていて、雰囲気がありました。家事をしながらも時間を作って作品制作に打ち込む姿が印象的でした。写真を暗室で現像するだけでなく、油絵具で色をつけて試行錯誤し、独特の雰囲気をもつ作品を制作していました。写真が好きで作品を制作しているのが伝わってきました。絵を描く行為は自分の意識を形にして表現する行為、そのプロセスが生きることを充実させているのだと思います。
絵を描くことが、心と脳に良い科学的理由│趣味はSNSからの離脱方法
絵を描く行為は、右脳と左脳を同時に使う活動です。右脳は「形・色・空間の認識」を、左脳は「構図や論理的判断」を司ります。絵を描くとはこれらを両方使います、脳全体の血流が増加し、認知機能の維持に役立つことが知られています。

また絵を描くと「フロー状態(集中して時間を忘れる心理状態)」に入ります。つまり制作に没頭し、時間を忘れてしまうほど打ち込めるのです。この状態に入って指や手、体を動かしていると、肯定的なホルモンが沢山排出されます。例えば次のようなホルモンが生成されます。
●趣味を持つことでSNSからの離脱
最近はインスタグラム、ユーチューブ、インターネットから絶えず情報を得ることが出来るようになりました。これは良くも悪くも我々を「世界中の成功している他者」との比較されるような環境を作り出しています。
人間は他者と比較するほど不安になります。他者と比べて自分はどれほど価値があるのか?と、、、しかし60億人類と比べたら自分よりも成功している人が多いのは当たり前です。
このような不安状態から解放されるために特に良いことは趣味を持つことです。
何故かというと「趣味の時間はそこに没頭し自分と向かい合う時間が持てる」ためです。これが先の「フロー状態です」。
絵を描きフロー状態に入っているとき他者との比較から解放され、単純な創造と表現の世界に入ります。つまり自分が今すべきこと、表現したいことことを見つめる瞑想のような時間になりえるのです。

ドイツの研究では、60歳以上の人が6ヶ月間絵画教室に通った結果、創造性テストと感情の安定度が顕著に改善され
アメリカの大学の実験では、30分のアート活動の後、参加者の血中コルチゾールが平均25%低下したそうです。
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