油絵を描くとき、絵の具だけでなく「油絵オイル」の選び方がとても重要です。
「よくわからないから、とりあえずサラダ油使うか?」という初心者の方も多いと思います。
「え、、、?」….実は私がそうでした…..
でも安心してください!この記事では、初心者でも迷わず選べる油絵オイルの種類と特徴をわかりやすく解説します。
オイルにより深い色合いやツヤがでたり、描きやすさが生まれたり乾燥を早めたり様々な表現をすることができます。「もう、、、キャノーラ油は使わない!」
これさえあれば完璧/プロ級の絵が描けるオイル
・テレピン
・リンシードオイル
・ポピーオイル
・ダンマルワニス
・シッカチーフ
・乾燥促進剤
こちらがメインのオイルです。これさえあればなんでも描けます。では一つ一つ解説していきます。
テレピン
(松の樹脂を主成分とした植物性揮発性油)
油絵を描くときにぜひ覚えておきたいオイルが「テレピン」です。別名「揮発油」とも呼ばれるこのテレピンは、松の樹脂からできていて、香ばしい香りがします。かといって思いっきり吸い込まず換気をよくしてください。テレピンを混ぜると、絵の具の伸びを格段によくすることができますし、筆の洗浄にも使えます。
リンシードオイル(亜麻の種子から採った植物性の乾性油)
植物性のオイルで、見た目は少し黄色がかっています。サラダ油みたいなので料理に使えそうな雰囲気ですが、絶対に使わないでください。リンシードオイルを絵の具に混ぜると、光沢が出て筆の滑りがよくなります。その結果、昔のルーブル美術館のモナリザのような深みのある油絵の雰囲気を出すことができます。

ポピーオイル(芥子(けし)の種子から精製した植物性乾性油)
ポピーオイルはリンシードオイルに似ていますが、成分がケシからできている植物性オイルです。
大きな特徴は透明であること。リンシードオイルは時間が経つと黄色く(黄変する)ことがありますが、
ポピーはそこまで黄変しません。ですがリンシードより乾燥には時間がかかります。
もちろん、料理には使わないでくださいね

ダンマルワニス(樹液)(Varnish=樹脂などを溶剤にとかしたもの)
これは樹液からできています。
見た目は少しドロッとしていて、手に触れるとベタベタします。このダンマルワニスは、絵の具を早く乾かしたいときに使うのがポイント。
例えば、油彩の下描きも、ダンマルガニスを使うことでぐっとスピードアップできます。油絵制作の効率を上げたいときには、とても便利なオイルです
シッカチーフ(酸化重合反応剤)
こちらも絵の具を早く乾かすための乾燥剤ですが、空気との化学反応によって乾燥を促します。
扱いには注意が必要で、少量を絵の具に混ぜるだけで乾燥スピードがぐっと速くなります。
絵の具に混ぜ過ぎると、ひび割れることがあるため、加減が重要です。絶対に口に入れないでください。
乾燥促進剤(ジェル状)
最後にご紹介するのは、乾燥促進剤の「メディウム」です。例えば「クサカベの超速乾剤」、「マツダの速乾剤」「ウィンザー&ニュートンのリクイン/Liquin」など混ぜると数時間~一日で絵の具を乾かすことが出来ます。制作スピードがぐっと上がるので、早く描きたいときにはとても便利です。ただし使いすぎると絵の具が黄色っぽく変色しますので、その点には注意が必要です。
オイルは友達
オイルはキャプテン翼で言う「ボールは友達」=「オイルは友達」と同じ概念です。油絵の絵の具には、すでにある程度オイルが混ざっています。
しかし、さらに自分でオイルを加えることで、筆の動きや光沢、色の深みなど、自分の表現に合わせた仕上がりを作ることができるのです。つまり、オイルはただの材料ではなく、作家の個性や表現力を引き出してくれる大切な要素です。
水彩やデッサンでは出せない、油絵ならではの深みや質感を生み出すことができます。オイルの選び方や使い方を工夫して、あなたの作品にしかない表現を産むことができます。

オイルを使う注意点は「乾き」
油絵の特徴のひとつは、絵の具がなかなか乾かないことです。だからこそ、オイルを使うと乾きのスピードをコントロールできるのが大きなポイント。オイルを加えることで、乾きを遅くしたり早めたりすることができます。
ただし、乾きはオイルの種類だけでなく、環境によっても変わります。湿度が高い時や空気が乾燥している時、暖かい季節や寒い冬など、気温や湿度によっても絵の乾き方は違ってきます。
油絵では、作家のスタイルによって「乾きが早い方がいい」場合もあれば、「ゆっくり乾いてほしい」場合もあります。そのため、自分がどんな描き方をしたいのかを理解した上で、オイルを選ぶことが上達への近道です。
描画ニスがヤバい化学反応を起こした話
「描画ニス=仕上げ用ワニス」とは油絵が完成したときに最後に塗る、光沢を出すニスのことです。
私が実際に経験した話ですが、今年の夏(2025年)にフランスで完成させた油絵に「タブロー」という仕上げ用のニスを塗ったことがあります。フランスでは、ニスは塗ってから2〜3日でそれが乾いた(指で触った時に)のですが、その絵を日本に送ったところ、なんとそのニスが溶け出してしまったのです。
当初日本は夏で、気温も37度を超えていたそうです。さら湿度も高かったらしく、その環境のせいか、フランスでは乾いていたニスが、日本に到着した後に溶け出してしまったのです。もしくは下の絵の具と何らかの化学反応を起こしたのかもしれません。詳細は分かりませんが、オイルやニスの乾きは単に種類だけでなく、湿度や気温などの「環境」によっても影響をうけることが分かりました。
もちろん、このようなことは稀ですが、どのオイルを使うか、どのニスを塗るかによって起こりうるトラブルも少し念頭に置いておくといいと思います。それも踏まえて、油絵制作では、このような経験も、作品作りの楽しさのひとつだと言えます。
→次回は絵の具のパレットについてお話していきます。

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