今日は、抽象画を描く最もシンプルな方法を紹介していきたいと思います。
抽象画というとなんか描くには難しいな?
と感じるでしょうか。
今回の記事を見ることで、
「抽象画も案外身近にあるな、描くのにもそんなに難しそうではないなぁ、、、」
ということを感じると思います。
では、そのプロセスを見ていきましょう。
準備物とアイデアスケッチ

まずは準備物です。
今回はPaper Canvasという紙の上にジェッソ加工してある安価なキャンバスを使っていこうと思います。
普通のキャンバスは布の上にジェッソが塗ってあるんですけれども、Paper Canvasはスケッチブックみたい20枚くらいセットで売られていて、紙の上にジェッソが塗ってあります。性質は油を吸収しやすいです。

ここでコツは最初に色をだいたい決めてしまうことです。 ある程度、青写真というかコンセプトがあった方が描きやすいんですよね。
特に色というのは描いていく中でコンセプトがないと何を使ったらいいのかとか色々迷ったりして、その分時間がかかってしまいます。
今回は下地の色を、暖色系(黄色、オレンジ、赤、マゼンタ)を使って、その上に寒色系(青、緑、グレ))を使っていこうと思っています。
下地を塗る│夕焼けをイメージ

まずは下描きをアクリル絵具で塗るところから始めていこうと思います。 アクリル絵の具が乾いた後に油絵の具を乗っけていく順序です。 アクリル絵具で下地を作る理由は、早く乾くからです。 また水を使っているので筆をすぐ洗うことが容易です。まずは刷毛を使い塗っていきます。

下地を暖色系の色で塗るんですが、今回の抽象画のポイントとしては、 いろいろなイメージを全て自然からとってきていることです。 この暖色系の色は夕日の色です。ここに参考に下写真を添付しますね。
やはり具体的なモチーフがあると描きやすいです。

少し乾いた後に、パレットナイフを使って重ね塗りし、マティエールを付けていきます。 アクリルはめちゃめちゃ乾くのが早いので、この後3時間くらいで乾かすことができます。
中間描き│渓谷・山脈の形


ここから面白いのが、ローラーを使って描いていったことです。 ローラーというのは画材屋さんにいろんな種類のローラーが売っています。筆ではなくローラーを使うことで下地の凸凹の上に偶然的なマチエール効果をつけることができます。

ここでも何か漠然と形を描くというよりは、渓谷のイメージから形を取ってきています。半抽象的な形ですね。 さっき言及したように寒色系の青、これはコンポーズブルー、コバルトブルーHue、ウルトラマリンを使っています。
中間描き②│花・地層の形


次に、花の形(輪郭線)を半抽象的に描いていきます。 これは白いバラの花ですね。
ここでパレットナイフで絵の具を引っ掻いて下地の色を見せるという技法です。 これが下地にアクリル絵の具で暖色系の色を置いた理由でもあるんですね。 引っ掻いたところが青ではなく下地の暖色がくっきり見えてきます。


もう一つは地層のイメージです。
これを筆で描いていきました。
ウルトラマリンに少し黒や紫を混ぜ、 少し濃い色で描きました。 パレットナイフでちょっとこすったり削ったりしながら、地層のパターン(模様的)な感じを描き出します。
ここまでで最後な画面構成と動きは描いたことになります。
仕上げ│花のディテールを描く


最後にディテール描写です。
どこを描くのか? それは人それぞれですが、白いバラの光が当たっている花びらの部分を描くことにしました。 パーマネントイエロー/オレンジ+白でハイライトを描きました。ベーススの寒色系の色の上に暖色系の色を再び乗っけアクセントを出します。
また、今まで彩度の高い色ばかり使用していたので全体的に色使いがギラギラしているんですよね。
ですのでグレーを背景の花びらに使い、絵を落ち着かせると同時に、変化をもたらします。
完成作品


こちらが自然を元にした抽象画が完成しました。 実はここで出来ることがもう一つあります。それは、これが抽象画なのでまだ絵の上下が決まってないんですよね。 なので、下の写真のように一度ぐるぐる回して、どの方向が一番よく見えるのか決定します。 美術大学の入試なんかでも、どっちが上でどっちが下なのか、最後に自分で決めて(上は天、下は地と表記する)提出する。そういう文化が日本にはあります。

今回のポイントは、、、
抽象画といっても人間がイメージだけでゼロから何かを作り出すことは出来ないということです。我々がもっているイメージは既に外界もってきたイメージなんですよね。
そういう意味でも何か自分の気に入る形、特に自然などから、形を借りてきて自分の絵に取り込んでいく。
そしてその形と自分の内面がどこでリンクして共鳴していくのかという地点を発見することが抽象画の第一歩だと思います。個性を発見するとはその共鳴点を発見することだと私は思います。
よろしければ抽象画も難しく考えず挑戦してみてはいかがでしょうか?

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