油絵のパレット3選/あなたに一番合ったパレットは?

ガラスのパレットとスクレーパー

今日は、油絵を描くときに使う「パレット」についてご紹介していきたいと思います。
油絵のパレットとは一種類ではありません。
いくつか種類があり、初心者が使いやすいものからプロが使うものまで紹介していきます。
そして素材(紙・木・ガラス)により、使い方やメリットがかわりますので、
自分の制作スタイルに合うパレットをイメージしながら選んでみてください。

目次

油絵パレットの種類とメリット・デメリット

●木製パレット
●紙パレット(使い捨て)
●ガラス

油絵で使うパレットは主にこの3つの素材です。

木製パレット

まずご紹介するのは、木製のパレットです。
このタイプのパレットは、ザ・画家タイプのパレットです。
印象派の画家モネなど、古くから画家たちに愛用されてきました。
木製パレットの最大の魅力は、長く使える耐久性にあります。使うほど味わいが増していきます。
そして手触りがよく、素材がしっかりしているため安定感があります。
紙パレットのようにたわんだり曲がったりしません。
ただし、お手入れには少し手間がかかります。
絵の具が乾く前にパレットナイフで削り取ったり、使用後にきれいに拭き取ったりと、定期的なメンテナンスが必要です。
しっかり管理しないと油絵具が乾きこびりついてしまい、削るのが大変です。
サイズも小型から大型まで幅広く、初級者から上級者まで使うことができますが、私の感覚ではどちらかというと中級者から上級者向けという印象があります。

hisagemma 木のパレット
長年使っている木のパレットの表面
hisagemma 木のパレット
絵の具が固まりすぎて取れなくなった木のパレット(裏)
hisagemma 木のパレット
折り畳み式木のパレット
hisagemma 木のパレット
折り畳み式木のパレット


紙パレット(一回用使い捨てパレット)

次にご紹介するのは、使い捨てタイプの紙パレットです。
これはボードの上に、プラスチック加工された薄い紙が20〜30枚ほど重ねて貼られているタイプで、
使い終わったら「1日使い捨てコンタクトレンズ」のように上の1枚をはがして捨てることができる、便利なパレットです。
お手入れが一切不要なので、汚れてもすぐに新しい面を使えるのが最大の魅力です。
このパレットは初級者から上級者まで幅広く使えるのですが、特に油彩の初心者の方におすすめです。
絵を描くたびにパレットの絵の具を削ったり拭いたりする手間が省けるため、制作に集中できます。
そして、たくさん絵を描く人、早く絵を描く人にも向いています。手触りがやわらかく、軽いです。
一方で、デメリットとしては紙がやや薄く、四隅が少し浮き上がったりペラペラしたりすることがあります。
「気軽に使えて、後片付けが簡単」——そんな手軽さを求める方には、この使い捨てパレットがぴったりです。

紙パレット

ガラス

最後にご紹介するのは、ガラス製のパレットです。これはローラー式の台の上に置いて使います。
ガラス板は既製品として売られているものもありますが、実際には「どこかで手に入れたガラス板を台の上に設置して使う」というケースも多いです。ガラスパレットは、本格的に油絵を描く人によく使われるタイプです。
私が韓国にいたときも、作家仲間の中にガラスパレットを愛用している人がいました。

ガラスのパレットとスクレーパー


ガラスパレットの魅力は、見た目がとてもスタイリッシュで“プロっぽい”雰囲気があることです。
プロっぽく見せたい方はガラス使ってみてください(笑)
さらに、絵の具を削ぎやすいという点もメリットです。
絵の具が固まっても、スクレーパーで表面を軽く削るだけで簡単に剥がれ落ちます。
ガラスはツルツルしているため、絵の具がこびりつきにくいのです。
ただし、デメリットは移動のしずらさです。ガラス+台は重量があり、持ち運びには向いていません
アトリエなどに固定して使うのが基本です。そのため、ガラスパレットは「アトリエでじっくり制作したい人」や「より本格的な環境で絵を描きたい人」におすすめです。

パレット選びは自分の描き方のスタイルに合っているか

どんなパレットを選ぶかは「自分の描き方やスタイルに合っているか」で決めるのが一番です。
・手軽に使いたい、使用後の片付けを簡単に済ませたい、柔らかい手触りがが好きな方→紙パレット
・安定した支持体、長期間愛用したい、硬い手触りが好きな方は→木製パレット
・絵具を簡単にそぎ落としたい、アトリエで腰を据えて制作、プロの雰囲気を楽しみたい→ガラスパレット
といった感じです。

画家とパレット
画家とパレット

どのタイプにもそれぞれの良さがあります。
自分の制作スタイルに合ったパレットを選んで、快適な油絵制作を楽しんでみてください。

私のパレット体験談:作品サイズと制作スタイルで変わる選び方

ここからは、私自身の体験を少しお話ししたいと思います。

私はこれまで、紙パレットをよく使ってきました。
以前は50号や100号といった大きな作品を描くことが多く、絵の具の使用量もかなり多かったんです。
ということは、1枚のパレットだけでは足りなくなってしまうので、大きめの紙パレットを2〜3冊まとめて購入し、アトリエに常備していました。軽くて持ち運びもしやすく、色ごとに複数のパレットを使い分けられる点がとても便利でした。
そして大きな作品では制作スピードを上げるために乾燥剤を使うこともあり、絵の具が早く乾いてしまうことがあります。
木製パレットの場合、絵の具が乾いてしまうと、その都度そぎ取って掃除しなければならず、忙しいときには少し手間がかかります。ですので効率的に使える紙パレットを使っていました。

パレットとスケッチ

一方で、最近は木製パレットを使っています。
というのも、最近はあまり絵の具を早く乾かさず、じっくり描くスタイルに変わってきたからです。
作品もライブペインティング(野外制作)が中心になり、中〜小サイズが中心になってきたからです。
ライブペインティングでは、しっかりとした安定感のある木のパレットが使いやすいです。
紙パレットのようにペラペラせず、安心感があります。
また、今では必要以上に絵の具を出さず、必要な絵の具でポイント押さえて描く“ミニマリスト的”な制作スタイルになったため、大きなキャンバスに描く以外は、パレットをいくつも使う必要がなくなりました。

こうして振り返ると、やはりどんなパレットが最適かは、自分の制作スタイル次第だと感じます。
絵のサイズ、制作環境、時間の使い方によって、最も使いやすいパレットは変わります。
ぜひあなた自身の描き方に合ったパレットを見つけてみてください。

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この記事を書いた人

Hisa Gemmaのアバター Hisa Gemma Landscape painter

絵画は人生を豊かにするをモットーに
20年以上絵を描き続けている画家です
アジア・ヨーロッパ・中南米・北米を旅しながら絵画を制作しています
個展・団体展・アートフェアで作品を発表しています
オンラインでの絵画講師3年、美術系学校での講師10年も経つつ
実用的なデッサン・水彩・油絵スキルと絵画制作とアート業界を通じて得た経験談やインスピレーションを共有しています。
絵を描き、人生のスパイスになれば嬉しいです

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